三上建築事務所にとって壽昌山祇園寺は格別な仕事である。本堂を初代三上清美が、貴賓室紫雲臺を先代三上清一が手掛け、その後の普請を益子が描いてきた。三代に渡ってお世話になっている稀有な仕事である。
[客殿玄関]
客殿建立は現住職一世一代の大仕事であった。客殿玄関の戸を開けると、間口三間、奥行八間、高さ九尺の間がある。一体の仏像が鎮座し、檀信徒を迎え入れる間である。正面の一番奥の仏像の上部に自然光が柔らかく差し込む。「寡黙さと強さ」を主題としたこの玄関こそが現住職の代の普請として特記であり、平成の祇園寺を象徴する空間である。柱・梁・鴨居・廻縁・竿等の木造空間を構成する線の要素を消去して、コンクリート打ち放しの面だけがつくる単純な間に還元し、「空」(“Less is more”)を具現化した。強い緊張を要求するこの空間のかたちと材料は密接不可分である。玄関の空間に足を踏み入れたとき、やわらかな光の中に浮かび上がる仏像に心が向かう。
[書院]
玄関正面右脇の舞良戸を潜り、地窓から光が差し込む側廊を通り抜けて左手に進むと、座敷へと続く廊下がある。手前に十八帖、その先に十二帖二間を介して奥の十八帖と、四間の座敷が並ぶ。この座敷を正統な書院に仕立てることを企図し、壁は本漆喰で、北側には造園家枡野俊明氏による聴楓庭が四季折々の風情を見せる。この書院の手本は、桃山書院の典型とされる滋賀県大津市の国宝三井寺観学院と神代雄一郎著『間・日本建築の意匠』であった。
[客殿玄関]
客殿建立は現住職一世一代の大仕事であった。客殿玄関の戸を開けると、間口三間、奥行八間、高さ九尺の間がある。一体の仏像が鎮座し、檀信徒を迎え入れる間である。正面の一番奥の仏像の上部に自然光が柔らかく差し込む。「寡黙さと強さ」を主題としたこの玄関こそが現住職の代の普請として特記であり、平成の祇園寺を象徴する空間である。柱・梁・鴨居・廻縁・竿等の木造空間を構成する線の要素を消去して、コンクリート打ち放しの面だけがつくる単純な間に還元し、「空」(“Less is more”)を具現化した。強い緊張を要求するこの空間のかたちと材料は密接不可分である。玄関の空間に足を踏み入れたとき、やわらかな光の中に浮かび上がる仏像に心が向かう。
[書院]
玄関正面右脇の舞良戸を潜り、地窓から光が差し込む側廊を通り抜けて左手に進むと、座敷へと続く廊下がある。手前に十八帖、その先に十二帖二間を介して奥の十八帖と、四間の座敷が並ぶ。この座敷を正統な書院に仕立てることを企図し、壁は本漆喰で、北側には造園家枡野俊明氏による聴楓庭が四季折々の風情を見せる。この書院の手本は、桃山書院の典型とされる滋賀県大津市の国宝三井寺観学院と神代雄一郎著『間・日本建築の意匠』であった。
- 住所
- 茨城県水戸市八幡町
- 竣工
- 2004年07月
- 建築面積
- 972.26㎡
- 延床面積
- 1,104.23㎡
・1階:872.91㎡
・2階:223.61㎡
・PH階:7.72㎡
- 構造規模
- RC造一部S造、W造
Media
Award
- ・ 第18回 茨城建築文化賞 入選